ハッブルが、星までの距離を測ろうとして、結果的に宇宙膨張(ぼうちょう)していることを発見しました。また、1940年代ロシア生まれの物理学者であるガモフらは、宇宙には始まりがあり、最初は高温高圧の火の玉として生まれて以来、膨張し続けていると考える「ビッグバン理論」を提唱していました。アメリカ・ベル電話会社のペンジャースとウィルソン(1978年ノーベル物理学賞を受賞)は、アンテナで受信する電波から雑音要因をとり除く研究をしていました。その過程で、とり除けない雑音源がありました。どうしても原因がわからなかったのですが、あらゆる方向からやってくることから、宇宙起源ではないかと考えたのです。しかもその電波は絶対温度3度に相当するマイクロ波でした。これは、ガモフの予言した、「超高温の宇宙が放っていた光は、その後の宇宙の膨張によって波長が引き延ばされ、現在では電磁波の形で宇宙に残っているであろう」ということと一致していました。温度が高い状態だと、原子は電離してプラズマ状態になる。プラズマ状態の密度が高いと、光はその中を通過できない。光が電子と相互作用して散乱されてしまい、そのため光は直進できません。ビッグバン後、約38万年経過して、宇宙は遠くまで見通せる、宇宙の晴れ上がりという状態になりました。物体は温度に応じた放射線を放つ。温度が高いほど、放射線の波長は短い。「宇宙の晴れ上がり」の直後、宇宙は数千度の高温であった。このとき、宇宙は短い波長の放射で満ちていた。その後も宇宙は膨張し、徐々に冷えていく。冷えるに従い、それに応じて放射線の波長が伸びていきます。ビッグバンの直後の宇宙はどこも高温だったのですから、その光は宇宙全体に満ち溢れており、膨張した現在の宇宙では「あらゆる方向からやってくる電磁波」になっているはずです。その予言に一致する宇宙マイクロ波背景放射が発見されたことにより、 ビッグバン宇宙論が広く受け入れられるようになったのです。
ガモフの予言
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